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『トイレの女神様』(2)

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それは優子の信じられない誰もいないことを良いことにトイレで行った如何わしい行為でした。
10時の休憩時間でしたから時間に制限があり未練は残りましたが何食わぬ顔でトイレの個室をでたのです。
それがここから優子にとって思いもよらぬ展開が待ち受けていたのでした。
トイレの後の手を洗うというより我慢の為に乱れてしまった身なりを直そうとミラーに向かいます。そして今、トイレで如何わしいことを行った罪悪感を隠すかのように唇を噛みしめ紅が薄れた唇を指でなぞります。
「ああ こんな いい女をほっとくなんて 世の中 駄目な男ばかりね・・・」
そんな独り言をつぶやきミラーに映る自分ではない奥に潜む淫乱な自分を見せるかのように怪しく紅を引きます。それは誰もいないことに事欠いて妖艶で淫乱な女を自演し目の前のミラーに映し出してみせたのでした。
「わたし 女優さんになれるかしら フフフ・・・」
自分の演技力にj自画自賛したのか笑みを浮かべた瞬間でした。
「えっ!」
まさかです。優子にとって心臓が止まるほどの驚きでした。
自分の演技に見惚れていたミラーの先に映り見えていた今、自分が出てきたばかりの個室トイレの隣のドアが開き出ようとした女性と目と目が合ってしまったのです。
その女性は「ええ? まだ いたの・・・」そんな形相で一瞬、ひるみかけ、開きかけたドアを引きかけましたが優子と目が合ってしまい引くに引けずオロオロした様子がミラー越しに見えたのです。それは「出るのが早すぎた ごめんね・・・」そんな思いも込められてるようにも見えたのです。
偶然にもトイレに居合わせて優子の如何わし行為の一部始終を聞いてしまったのです。恥ずかしいでであろう優子の気持ちを察し見てみぬふりをする筈でしたがタイミングが外れ優子に気まずい思いをさせてしまったと後悔している様子でもあったのです。
優子は、うつむき頬を赤らめて、その場を早く逃げたい気持ちで一杯です。
その時でした。
「貴女」
トイレの出口に向かおうとした優子の背中越しに聞こえて来たのは紛れも無くその女性の優子を呼び止める声でした。
「ちょっと 待って・・・」
そして、素早く優子の制服の袖を引いて行くことを止めたのです。
「大丈夫 何もしないから ちょっとだけ お願い」
優子は、その場から少しでも早く逃げたい消えたいという気持ちでしたから、そこでその女性にまともに顔を見られたら恥ずかしさのあまりその場に泣き崩れていたかもしれません。
「仕事ですから・・・」
「少しだけ いいでしょう」
さらに優子の腕を引いて止める女性の執拗な呼び止めに仕方なく従います。
「少しなら?」
すると直ぐに言葉が返ってきます。
「わたし こうして御手洗とかで 同僚と お化粧を直しながら 上司の悪口とか そんな おしゃべりするのが 夢だったのよ・・・」
それが無理やり引き留めた理由なのでしょうかまさかそんな言葉が返ってくるとは思いませんでしたから優子は戸惑います。
思い出したくもない悪夢のような出来事にも触れず何事も無かったような振る舞いで素敵な笑顔で話しかける女性とは、実はこのビルのオナーだったのです。
名前は真弓といい歳は48才、熟女と言うにはもったいない程の若さ溢れる女性でこのビルのオナーでもありビルの一角に事務所を構える白いスーツをスキなくビシット着こなす経営者でもあったのです。
優子も彼女をビルの中で見かける度に「素敵だな~ぁ 私が男だったら・・・」そんな思いを抱いていたのでした。
「お話するの 初めてよね?」
「お名前なんて言うの?」
「私は 真弓」
「はい 優子です」
「優子ちゃん その口紅 素敵ね」
「そうですか 子供らしくないって 母が叱るの」
「それは お母さん 心配して 言ってるからよ・・・」
「そうですか?」
「そんな 素敵な口紅つけた優子ちゃんを男性陣が ほっとかないでしょう」
それは、ミラーに妖艶さを自演し映し、世の男性のみる目のなさを嘆いてみせた独り言でもあったのでしたから心の中まで覗かれたようで驚きます。
「誰も 声も かけてくれません」
「優子ちゃんが気づかないだけです」
そんな冗談めいた励ましかたでしたが、それが真弓の本音である事とスカートの股間のあたりが不自然に盛り上がっている事を優子は気づきもしませんでした。
真弓はさりげなく視線を落としそこを見ます。それは「私を こんなに夢中にさせて 分からないの?・・・」と言ってるようなものでもあったのです。
「そうかな~ぁ?」
「ほんと 何にも知らないのね?」
真弓としては異性に興味を持つようでも困りますしそれ以上、寝た子を起こすようなことは言いませんでした。
「真弓さん 私 そろそろ 行かないと・・・」
「あっ それと いつも お掃除ありがとうございます」
優子は感謝されて照れます。
「いいえ」
「ごめんね 引き止めて また おしゃべりしましょうね・・・」
真弓の夢が叶った。たわいもない僅かな時間でしたが優子もあのショッキングな出来事から癒えたような感じです。
優子から笑顔がこぼれ嬉しそうに返事をします。
「はい」
「じゃ~ね あっ! それと・・・」
真弓が何か言いたそうに言葉を濁します。
「え?」
「いいの 今度 お話しするね」
何かを秘めた真弓の言葉と仕草でしたが早く事務所に戻らなりませんからで聞きたい気持ちを抑えトイレ出ます。
いつも綺麗に掃除をしていた優子にトイレの女神が微笑みかけたのでしょうかそれとも優子自身が女神様なのかもしれませんね。
真弓さんとお友達になれたことで優子は会社に来るのが楽しみになりました。        
優子は職場に戻ります。
「すみませんでした ちょっと・・・」
それだけ言えば察しがつくものと思い自分の席に座ると定年まじかの、うだつの上がらないスケベオヤジ丸出しの所長がいやらしく余計なことを聞いてきたのです。
「優子ちゃん やっぱり お腹でも痛いの?」
「ええ? 違います どうしてですか?」
「トイレが長かったから?」
女性に対しての常識を疑うような質問でした。まして年端もいかない女の子へそんなことを聞くなんて野暮な所長ですね。
優子は「どうしてトイレに いたなんて知ってるのかしら?」そんな思いが過ぎりますがそつなく答えます。
「おトイレが 汚れていたので」
「ああ 掃除でしたか ご苦労様です それなら良かったです」
「勝手に して すみませんでした」
「いいの いいの それと 言い忘れてましたが 大のトイレで右の方 注意した方が いいですよ」
それは今、優子が入ってきたトイレでしたから聞き返します。
「え! どうしてですか?」
「あのですね 言うべきかどうか迷ったのですが 私も もう直ぐ定年です 貴女が心配なので・・・」
「心配?」
「これは 噂なんですよ 噂ですからね」
「どんな噂ですか?」
「それが どこかに覗き穴があると言うんです 噂ですからね」
何度も「噂ですよ」を繰り返し念を押すように、いやらしく含み笑いを隠すように口元を歪めます。
「えっ!?」
優子は、驚きます。今そこで用を済ませ、さらに人には言えませんがもう一つあるまじきことを行って来たからです。
先ほどは真弓さんでしたから許せますが、そうでない人に今まで知らずに見られていたとなるとショックです。先ほどの出来事が思い起こされ落ち込んでしまいます。
急に顔色を変え黙りこけてしまった優子に言った所長さん慌てます。事実セクハラめいた言動でもありましたので責任を感じたのか言い訳を始めます。
「ごめん ごめん 私も噂を聞いて トイレの中を調べてみましたが不審な所は無かったです」
「・・・」
「優子ちゃん 心配しないで すぐ ビルのオーナーに言っておいたから・・・」
「・・・」
それは、事実だとしても汚れない人を疑うなど露ほどもない18才の乙女に注意を促すという意味を込めたとしても直接話すべきことではありませんでした。
この常識のない所長は、あと2ヶ月もすると定年なのです。何か最後に嫌らしいたくらみがありそうな会話でもあったのです。
優子は内心「何んで今頃 言うの もっと早くでしょう 面接の時に・・・」と所長を睨みました。
「ごめん 優子ちゃんが来るまでは 男所帯だったので あまり気にかけなかったの・・・」
何かうさんくさい言い訳でもありました。
それとも優子が勤めるようになってから誰かが細工したとか世間知らずの入社まもない優子には、そこまで人を疑い詮索する考えには及びませんでした。
「ああ ごめん おどろいた?」
当然です。慌てた所長は食べ物で釣ります。
「優子ちゃん ランチ ご馳走するから 許して」 
「えっ 本当ですか?」
「うれしい じゃ~ぁ うんと高いのでいきますよ」
「いいですよ」
真弓さんの時もそうでしたが、ここでも意外と早い和解です「そんなに直ぐに立ち直れるの?」と言いたくなる程の優子の変り身でした。
所長も安心したのかニコニコの笑顔です。
それは優子と昼食を共にできることの喜びだけに過ぎないのでした。
「優子ちゃん 入社して一ヵ月になるね 会社慣れた?」
「はい 少しだけですけど・・・」
「それと もしかすると 最近 恋人できたりして?」
優子は、その言葉を聞くと顔が真っ赤になりました。初々しさが身体から滲み出るようにです。
うつむいたまま言葉がでません。
「いいんだよ 無理して答えなくても 今日は特に色っぽいから?」
優子はちょっと嬉しくなって所長を見ます。
先ほど憧れの真弓さんと親しくなったばかりです。それは恋人が出来たような心が浮ついた気持ちになっていたのは事実でしたから素直に気持ちが表れていたのかもしれません。
「ああ 残念だな~ぁ あと僅かで 優子ちゃんと バイバイだなんて・・・」
「私も 残念です」
「悪い男にでも 引っ掛からなければと心配なんだよ お父さんは・・・」
心配を装った何か所長の下心が見え隠れするような最悪の冗談でした。
「そんな 口紅をつけていると 心配で 心配で仕方ないんだよ」
所長にしてみても、トイレで真弓さんが「気づかないだけよ?」と言った事実と同じ意味合いを優子に教えたかったのです。所長は優子が入社して以来「所長 いい子見つけたね 年いくつ? 可愛いいね 紹介して」と周りからさんざん言い続けられていましたからなおさらだったのです。
ただ所長にしては他の男に先を超されるなら今の立場を利用して「私が先に・・・」と言う嫌らしい企みがあったのです。
「優子ちゃん ちょっと早いけど ランチにしょう?」
「いいんですか?」
「優子ちゃん 今日 お客様来た 電話だって 携帯に転送すればOKです」
「そうでしたね 所長がよければ・・・」
スケベオヤジの所長は満面の笑顔で鼻歌交じりで上着をあおります。
「所長 お外に出るのなら お手洗いに行ってきます」
「ちょっとだけ待ってください」
「お〇っこ?」
「もう そんなこと言う所長さんには デートしてあげません」
「あああ ごめん もう そんな事 言わないから 許して」
優子はトイレの洗面所に入りミラーに向かいます。
「ああ 真弓さんのように 大人のお化粧しないと うん やっぱり お〇っこ して行こうかな いいか さっき したばかりだし」
モゴモゴと呟きながら身支度にそわそわミラーに後ろ姿を映しチェック、しっかりと身だしなみを整えました。
「お待たせ ごめんなさい」
「用意できた? じゃ行こうね」
そして二人はビルの外に出たのです。          つづく

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